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東府今若

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江戸しぐさ拾遺 第五

『江戸の繁盛しぐさ』、第5部「うらしま・たろうの『現代江戸講』」から、その5
…若い方たちは足が長くてスラっとして十頭身なんて喜んでますね。…
ところが江戸で言いますと、福助。だから福助足袋という商標になったわけで、福助こそ江戸の最高の男なんですね。五頭身半、六頭身ですか、だから六頭身というのがとても良い。
手、足を見まして……手の長いのはちょっとためらってしまう……(p.217)
江戸時代も長身痩躯にあこがれていたのは今と同じで、美人画などは時代が下るにしたがって、八頭身、九頭身としだいに日本人離れしたプロポーションになっていった。
江戸しぐさ拾遺 第五_e0180962_1795892.jpg
『叶福助噺』栄邑堂邑二・編、栄松斎・画、十返舎一九・校合 早稲田大学図書館蔵

その福助だが、福助のモデルにはいくつかあるが、おそらく一番有名なのが百姓の息子の佐太郎だろう。
生まれついての奇形児が江戸へ流れ着いて、「不具助」をもじった「福助」の名前で見せ物に出ていたところを、篤実な侍に買われて幸せに暮したというから、それこそ最高の男だったにちがいない。

それと、福助足袋が江戸時代からの老舗と思っているようだが、創業は明治15年、最初の屋号を「丸福」といった。しかも大阪は堺で、江戸でも東京でもない。
「丸福」を「福助」に変えたのが、明治33年のことでした。

 —…はやく言って安心させろよ。誰に似てんだい!
 —お前さん、福助。
 —あの役者のか?
 —なぁに、今戸焼きの福助……
by tassok | 2014-09-23 15:44 | 読書日記
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